日本音楽界の生きるレジェンド細野晴臣さんに「もうこれ以上語ることはない」と言わせた評伝本が旅館はらだの本棚に登場!マンガ、小説も充実の本棚には音楽関係の書籍、雑誌も沢山。旅先の宿で好きな本を枕元に並べておこもりステイ。withコロナでライブハウスも動きだした今、ライブ後の宿に音楽好きのスタッフがいる旅館はらだはいかがですか?
「細野晴臣と彼らの時代」。音楽好きなら読むしかない!
細野晴臣さんと聞いて、どんなイメージが浮かびますか? YMO時代のテクノカット? はっぴぃえんど時代のヒッピー風のロングヘアー? 活発な活動が嬉しい、ますます渋さに磨きがかかっている近年のロマンスグレー?
好きな「モノ・コト」のルーツ探りって楽しいですよね〜。音楽が好きな方ならば、色んな切り口はあるとは思いますが、必ず細野晴臣さんにぶつかるのではないでしょうか?しかしながら、小坂忠さんとのバンドから始まり、現在進行系で50年以上と長く、多岐にわたる細野晴臣さんの音楽史をとらえるのは至難の業。
細野さん自身に「これ以上語ることはない」と言わしめた「細野晴臣と彼らの時代」は、細野さんの一言では語れない音楽史を、細野さん自身の考え方やの変遷と周りの人々との関係性を元に、余すことなく書き記した本。
日本語ロックの金字塔であり、到達点でもある「はっぴぃえんど」の結成から円熟までの詳細な経緯。自らが目指す音楽に対する世間の不理解による精神的苦悩。バブル経済も相まった、狂騒的なYMO時代における坂本龍一さん、高橋幸宏さんとの張り詰めた関係性。一人スタジオにこもり、アンビエントな音に沈みこんだ80年代後半~90年代。ミッドセンチュリーの「古き良き音楽」への邂逅と、かつての盟友の息子、高田蓮などの若い世代とのバンド活動が活発な現在。まさに一大叙事詩。
大瀧詠一、松任谷正隆、松本隆などの日本popミュージックの始祖や、言わずもがなの存在の坂本龍一や、メンターとして導く横尾忠則の他にも、コーネリアスや、星野源などのこれからの音楽史シーンを担う若手など、数えきれない日本音楽・アート界のキラ星達との交友を通して、色んな形に変貌しながら表現され続けている自身の音楽。それらの音楽と並行した形で、風の谷のナウシカから松田聖子など日本芸能の裏方として行われた重要な仕事など、時系列を丁寧に追った詳細なディスコグラフィーの解説が満載。
情報量多いのに、一気読み出来ちゃう名著。細野さんが好きな人も、知らなかったという人も、音楽が好きな人なら、是非一度手に取っていていただきたいおススメ本です!
旅館はらだで読める音楽関係の書籍、雑誌の紹介
旅館はらだには、連泊されるお客さまや、長期滞在される方に人気の、マンガ、小説コーナーがあります。
マンガや小説の他に、音楽好きのスタッフおススメの音楽関係の書籍も充実しております。とはいいつつ、これまではこれら音楽関係の書籍・雑誌をお手に取られるお客さまはあまりおられませんでした。完全に自己満足なのですね(苦笑)。
しかし今回、細野晴臣さんの評伝本を読んで、音楽好きのお客さまがご宿泊される時があれば、是非とも共有したい!また、ルールを守れば、少しずつライブハウスなどで生の音楽に触れることができるようになってきた今、ライブなどで広島に来て、旅館はらだに泊まるお客さま大歓迎!ということで、改めて、旅館はらだの本棚にある音楽関係のオススメの本や雑誌を紹介させていただければと思います~!
副島輝人著「日本フリージャス史」:細野晴臣さんたちが、はっぴいえんどなどのロックをかき鳴らしていた同時代、1960年代に、世界同時多発的に始まったフリージャズの動き。安保闘争など、日本の若者が命を懸けて「何か」を変えようとしていた熱い、熱すぎる時代。新宿のpit innやニュージャズホール等などの小さなライブハウスなどを中心に、始まった日本のフリージャズ。
既存のフォービートのjazzではなく、決め事も何もない純粋な即興音楽。プレーヤーとプレーヤーの音のぶつかり合い。現場(ライブハウス)に足を運び続けた作者、副島さんが、日本フリージャズの変遷を追ったルポ。一体何回読み返しただろう?若い人にはもちろん、フリージャズと聞けば、拒否反応がでる方もおられると思いますが、現在の日本のトップjazzプレーヤーのルーツでもあると思いますので、無視できない名著です。
殿山泰治「JAMJAM日記」:今ではバイプレーヤーと呼ばれる(?)名わき役の殿山さんの、お酒とアガサクリスティーと映画とjazzにまみれた日々。毎夜薄暗いクラブの奥に座り、当時のジャズ、フリージャズへの鋭い考察が度々出てきます。竹中直人さんが殿山さんを演じた映画「三文役者」でも、猛スピードのfree jazzが鳴り響いております。殿山さん曰く「jazzは人間の音楽です」。
その他にも、音楽好きのスタッフがどうしても手元に残しておきたい神回の雑誌なども有りますので、お気軽にお手に取ってペラペラと眺めてみてください~!
「めかくしプレイ」:音楽評論家 松山晋也が、様々なアーティスト(人選がいいんです。夏木マリから山本精一まで、メジャー・アングラ関係なし!)に誰の音楽かを明かさず、聞かせまくる。マストアイテムから、アンダーグラウンドな音楽まで広くチェックできる。書店でレジに持っていく時に変に緊張しちゃう(?)題名だが、素晴らしいディスクレビュー集。私はこの雑誌のおかげで、エグベルト・ジスモンチなどの素晴らしいアーティストを知ることができました。
「Quick Japan」:フィッシュマンズ(若くして夭折してしまったフィッシュマンズのvo佐藤さんのロングインタビュー。永遠に受け継がれていくべき奇跡の音楽)、ボアダムス(後何回ライブが見られるんだろう、、、。今「生きている」伝説。知らないと損するんじゃないかな~。一生追いかけます!!)、デートコースペンタゴンロイヤルガーデン(今や、文筆家としても有名な鬼才・菊地成孔さんがブレイク(表現が古い!?)したきっかけのバンド。バンドメンバーが全員違うリズムを鳴らすなか、客席にお尻を向けて、ゲラゲラ笑いながら指揮する菊地さんの狂気が忘れられません。)、タモリ(音楽と関係ないじゃん!?いえいえ、タモリさんを語らずして、日本のjazzの歴史は語れません!)。永久保存版のクイックジャパンを取り揃えておりますよ~。
「NU Sensation」:小野島大編集。1978年から1998年の20年間の日本のオルタナティブな音楽のディスクレビュー。歴史に埋もれされてはいけない、世界に誇る日本独自に展開したnoise、パンク、ハードコア、歌モノ、etc。Wikipediaやネットで簡単にアクセスできない、色んな情報にあふれています。
その他、「Brutus」「Studio Voice」などの音楽にかかわる雑誌のバックナンバーもいくつか置いています。
以上、今回は細野晴臣さんの本を読んで、テンションが上がって、自分の趣味全開となったブログとなりました。。。でも、もしのもし、、、、旅館はらだにお泊りの際に、本棚に「ビビッ」と来た方が、お気軽にスタッフに話かけてくだされば、最高に嬉しいです!最後までお読みお頂きありがとうござました!