先日1~3部について投稿した、マンガ「ジョジョの奇妙な冒険」感想part2!漫画コーナーに置いたところ、すぐにお客さまが手に取ってくださり、嬉しい限り!4部からは、ファッション性がさらに高まった人物、バンド名を冠した魅力的なスタンドなど、荒木飛呂彦さんのディープな世界満載!広島の旅館でおこもりステイで一気読みもアリ!?
長期滞在の方に人気の漫画コーナー。コロナ対策も万全に!
お仕事で長期滞在のお客さまにもご愛顧頂いているビジネス旅館はらだには、夜にお寛ぎの時間も退屈することないように漫画、雑誌、小説、DVDコーナーを取り揃えております。
マンガコーナーは現在550冊を超える、名作・絶版・クセが強い作品など充実の品ぞろえ、先日置かして頂いた、ジョジョの奇妙な冒険は、連泊中のお客さまが、待ってましたとばかりに、即座にお手に取ってもらっているようで、嬉しい限りです!
現在、コロナウイルス感染拡大防止の観点から、一度お読みになった本は、1週間ほど隔離した後、表面をアルコール消毒してから、本棚に戻す対策をしております。ネット上や科学論文上では、紙などに付着したコロナウイルスの活性は、時間スケールなどのデータはありますが、まだ完全なデータが得られない中で、できるだけ期間を開ける観点で隔離期間を1週間としています。
*参照:新型コロナウイルス影響下の図書館:再開に向けた取組(2020-05-29)
http://www.miraitosyokan.jp/future_lib/trend_report/covid-19_20200529.pdf
このような取り組みを行っているのですが、お客さまが隔離用の返却boxをご利用して頂いているのを見ると、「withコロナ時代の対策は、スタッフは勿論のこと、お客さまのご協力があってこそ実現できるんだな!」と再確認するとともに、趣旨にご協力いただいているお客さまには感謝の言葉しかありません!!
第四部 ダイアモンドは砕けない
さて、前回3部までの感想を投稿させていただいたので、ジョジョの奇妙な冒険 第四部からの感想です~!
日本からエジプトへの、戦いに続く戦いの壮大な第三部から一転、第四部は、日本のとある町「杜王町」の日常に潜む不思議な物語を描きます。主人公は、なんと第二部の主人公が不倫によってできた子供、東方仗助!既に、少年誌らしからぬ主人公の背景ですね、、、。
最終的には、「杜王町」で密かに起きていた連続殺人事件のサイコなラスボスとの対決となるのですが、、、主軸となる物語以外に沢山散りばめられた、「杜王町」の「奇妙な物語」それぞれが一篇の短編小説みたいに、どれも素晴らしい!
「好きな同級生を、自分の思い通りの彼氏にするために監禁してまで矯正する女学生」、「大当たりの宝くじを拾ったことがきっけに、スタンド能力を駆使した骨肉に争いに発展する仲間たち」、「突如として現れた宇宙人!?」、「自らのスタンド能力によって、地面に降りることなく鉄塔の上で自給自足の生活を強いられる男」、、、、。字にすると、クセが強いっ!!
そして、第四部以外にも、ノベライズや読み切り企画に発展する、人気キャラキターのマンガ家「岸部露伴」が登場します。岸部露伴の常軌をいっする行動から、荒木飛呂彦さん頭の中を覗いたような気分になります。
*今度、高橋一生さんが演じる「岸部露伴」の映画が公開とのこと!なんとはまり役!JOJOの実写映画も有りましたが、今回は特殊映像効果だけではなく、ジョジョの奇妙な冒険の深遠でディープな部分を描きだしてくれることを期待ですね!
そして、何よりも恐ろしいのが、ラスボスの目的が「不安がない平穏な生活を送ること」という点。殺人衝動を抑えきれないこと自体も異常なことに変わりないのですが、自分が不安になったり、不利な状況に陥ることを避けるために、犯罪を起こすという心理。でも、、、、もしかしたら、平穏に暮らしたいがために、間違いを起こしてしまったことに、思い当たる節がある方もおられるのではないでしょうか?日常に潜む狂気をあぶり出す第四部。荒木さんの真骨頂なのではないでしょうか?
第四部からは、スタンドにアーティストや、有名な楽曲から参考・引用されるようになります。音楽好きとしてはこれがたまらない!スタンド能力と、アーティスの名前などが、何とも「言いえて妙!」な選択なのです。
猫のスタンドには、ブライアン・セッツァー率いるバンド「ストレイキャット」、ラスボス吉良吉影の父の「アトム・ハート・ファーザー」はプログレシッブロックの大御所ピンクフロイドの名盤「原子心母(アトム・ハート・マザー)」から、バンド・アルバム・曲名がそのまま、スタンドやキャラクターの特徴を示唆するものがある一方で、「スタンド能力から想像して、何となく雰囲気を表している」暗喩的な引用された場合もあります。
例えば、恐怖を感じた瞬間の人間を、紙の中に取り込む「エニグマ」は、紙に取り込む瞬間の描写が、なんともサイケで幻想的で、絵画的。民族音楽・聖歌などをミックスしたようなエニグマの音楽を想起させる納得なネーミング!
少し毛色が違う第四部ですが、少年漫画にとらわれない、何か一段解放された荒木ワールドがさく裂し始める第四部。大好きな作品です!
第五部 黄金の風
「ギャングスタ―になる!」見事なjojo立ちで、高らかに宣言する主人公ジョルノ・ジョッバーナ。なんと、第一、三部に登場したDIOの息子!!しかし、DIOの体は、第一部の主人公:ジョナサン・ジョースターの体なので、遺伝的には、ジョースター家の血を継ぎ、正義の心を持つ青年ジョルノ。
連載当初、主人公のスタンド「ゴールドエクスペリエンス」の能力=「(無機物に)生命を与える能力」に「???(はてなマーク)」。しかし、この能力を使って、強力な敵と対峙する方法が面白いのです!!パワーや戦闘能力の大小ではなく、知恵と勇気と工夫で立ち向かう、まさにジョジョの奇妙な冒険ならでは戦闘シーンが満載です。
そして第五部の舞台は、イタリア!イタリア自体がおしゃれ(偏見!?)ですが、登場人物がイチイチおしゃれなのです。実際に、ファッションブランドからのラブコール受けたこともあり、驚くことなかれ、なんと世界のGUCCIや、ストリート系では外せないスニーカーブランドVANS(ブチャラティモデルは本当カッコいい!)とコラボレーションもされているのです!
ジョルノが入る、ギャング団のブチャラティが仕切るグループの仲間。これがまた、みんな一癖も二癖もあるけど、最高のパーティーなのです。虐待の経験を持つナランチャ、誤って犯罪者にされたミスタ、警察官でありながら汚職に手を染めてしまったアバッキオ、紳士然としているのに、プッツンするとヤバいフーゴ。そして、ジョルノと正義の心を分かち合い、ギャング団のボスを倒す目的のため死力を尽くすリーダーのブチャラッティ。それぞれが様々な過去や想いを胸に秘めながらも、ジョルノの正義・勇気の心に刺激を受けながら、圧倒的な「悪」のボスへの戦いに挑む。
登場するスタンドは、ローリングスターンズ、エロスミス、オアシス、メタリカなどのメジャーどころのロックから、トーキングヘッズ(アフロのリズムを取り入れた、NYパンク!)、クラッシュ、セックスピストルズ(言わずもがなのパンクバンドのレジェンド達)、クラフトワーク(テクノミュージックの元祖!)、ソフトマシーン(大好きなプログレ?カンタベリー?バンドなのでとても嬉しい!「Third」は大名盤!おススメ!ジャズとロックが最高の配分でmix!)などなど、荒木飛呂彦さんの好みの音楽ジャンルが少し垣間見える(?)幅広い・クセの効いた素晴らしいバンドばかり!老化させるスタンドはグレイフルデッド(ヒッピームーブメントの代表的バンド。20分以上にも及ぶライブ盤の「Dark Star」は必聴!)、死んだあとの呪い(想い)を引き継いでスタンドだけが攻撃し続けるノートリアスB.I.G(東西のギャング勢力争いに巻き込まれ若くして亡くなったヒップホッパー)や、ラストボスがキングクリムゾン(これぞプログレッシブロックのラスボス!?変拍子の嵐と、壮大なロックシンフォニー!)だったり、ネーミングの引用センスが素晴らしすぎます!
ジョルノの能力、ゴールドエクスペリエンスの能力は、敵との戦いんの中で進化し、最終形態となった「ゴールドエクスペリエンス・レクイエム」の能力に至っては、完全に理解するのは難しい。しかしながら、ジョジョはそれでいいんです!!だって奇妙な物語なんだから!なんでも、ネットで答えがわかる時代。「わからない」けど「面白い・引き込前れる」物語があってもいいじゃないですか!?
第六部 ストーンオーシャン
第三部の主人公・空条承太郎の娘の空条徐倫(ジョリーン)が主人公の第六部。「天国に行く手段」を探す、ラスボスのエンリコ・プッチ神父の目的を遂げるために必要な空条承太郎の記憶。その記憶を奪うために、娘を犯罪者にしたてて、神父のいる刑務所に収監されたところから物語始まる。
エロ・グロ的な描写が増えたことで少し刺激が強く、常軌を逸した破壊力を持つ敵のスタンドが多く、絶対無理やりやろ~!となること多し。いきなりカエルが降ってきたり、キャラクターがカタツムリになったり、プランクトンが集まって主人公の味方になったり、「天国に行く手段」なんてテーマも出てきて、荒木ワールド全開で、すべてを理解・納得できることはないでしょう。しかし、、、、再度言いますが、、、いいんですソレでっ!
そして、すべてが「奇妙な物語」だけではなく、絶望的な状況においても、ジョリーンやその他登場人物の確固たる信念、勇気、決意を伴う一歩も引かない行動は、シリーズ中、最も「熱さ」が込められている物語ではないでしょうか?
私が最も感動したのは、「裏返す能力」を獲得したラスボス・プッチ神父のスタンド攻撃をかわしたジョリーンの機転。体を紐状にすることで、様々な攻撃を繰り出してきた、ジョリーンのスタンド能力「ストーンフリー」。「紐」でピンときた方もおらるはずの、第二部で多用されたジョセフ・ジョースターの得意技、ロープトリック。ロープ・紐の使いかたは、単にマジックを超え、「メビウスの輪」まで持ち出してくるのです。荒木飛呂彦さんの頭の中の知識・アイディアは無限なり!
言葉にし辛いのですが「裏返す能力」=時空・異空間へとつながる能力とは、マンガ家の方々の琴線を震わせるのでしょう。以前紹介した、超大作の未完・一時絶版となった伝説の山田芳裕さんの漫画「度胸星」においても、宇宙の謎の物体「テセラック」も「裏返す能力」を使います。人間がいる3次元からでは見えない高次元から可能になる「裏返す能力」。
空条承太郎の記憶を得て、最後に進化したプッチ神父の能力は、時間を加速・加速・加速・加速・・・させて、重力を捻じ曲げて、宇宙の終わりへと導いた後に、すべての人間が、生涯に起こる事・運命をあらかじめ知ったうえで、生きる世界=天国を創生すること。すなわち、不安がない世界!?=第四部のラストボス・吉良吉影の思想と通じる、世界ですね。
時間・重力・時空、、、、ドラキュラ漫画(?)から始まった漫画が、このような壮大なるテーマまで広がっていくことを誰ができたのでしょうか?漫画の域を超えた、ジョースター家の一大サーガ。何度でもじっくり味わいたい、大名作。ビジネス旅館はらだには、ジョジョの奇妙な物語、第6章までコンプリートしております。荒木飛呂彦先生に世界にどっぷりつかる、おこもりステイ、いかがでしょうか??
ご興味がある方は、第1部から第三部までの感想を書いたブログもチェックしてみてください~